射止めろ!石油女王 01


「はじめまして、野澤拓真です。趣味はカラオケで、英語がちょっと話せます。よろしくー!」

 なるべくくだけた感じで自己紹介をしてみた。生まれて初めての合コンだからちゃんと予習してきた、女の子の受けも悪くはなさそう。
 学生時代には彼女がいたことだってあるし、女の子に免疫が無いわけじゃない。モテてきた人生じゃないけど、自分が典型的なブ男だとは思わない。

「野澤さんは、カラオケ好きって言ってましたよねー。何歌うんですかー?」

「嵐とかGReeeeNとか歌うよー。よかったら今度、聞かせたげようか?」

 自分で言うのもなんだけど、女の子からのウケも悪くはなさそう。俺ももう24歳、今すぐに結婚したいわけじゃないけど、将来のことを考えると、彼女が欲しいお年頃。

「あー、今度一緒に行きましょう! あ、そうだ! 野澤さんって、どんな女性がタイプですか? ……私みたいなのは、どうですか? 私あんまり料理とかできないんで、いわゆる女子力とか、そんな高くないんですけどー」

「もちろんキミもタイプだよ。そうだねー、料理とかは俺ができるから、別に相手に求めたりはしないかな」

「へー、料理するんですね。すごい!」

「うん。だから、優しくて思いやりがあって、お金がある人がいいかな」

「え、お金、ですか……?」

「女の子たちが『お金持ちを捕まえなきゃ!』みたいに思ってるのと同じだよ。俺は石油王じゃないから、そこまで収入があるわけじゃないからね」

「石油王って、面白いですね。やば、ツボに入った……っ」

「だから、そうだね。俺の好みの女性のタイプは、『石油女王』かな!」


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