不健康な人達 57


「おはよう」

 俺は谷口に挨拶をした。今まで他の人のいる前では谷口と話すことはなかったのだが、もう俺は周囲の目を気にしたりはしない。普通の友人のように挨拶をした。

「……おはよう」

 谷口は少しキョトン顔だ。朝から俺に声を掛けられるとは思ってなかったのだろう。今までは放課後に少し話す程度だったのだから、無理もない。けど、俺たちは友達だ。どこにでもあるような友情関係を結んだ人同士だ。

「あぁ、そうだ。昨日の分のノート貸してくれない?」

 谷口も以前のように話してくれた。俺が皆の前で話すのを躊躇ってないのを見て、安心したのだろう。けど、俺も昨日は五限から居なかったからな。全部は貸せないぞ。

「それでいいよ。私は理科Bの授業とってないし」

 ちなみに六限は体育だった。じゃぁ何の問題もないだろう。俺は昨日は真面目に授業を受けていたので、喜んで谷口に貸してやった。

「理科Aは西原にでも借りてくれや」

 谷口も西原も、よく理科Aの授業なんて受けられるよな。俺だったら毎回赤点を取ってしまうだろう。

「うん、得意だからね」

 なるほど、俺は計算が苦手だからな。


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