「おはよう」
俺は谷口に挨拶をした。今まで他の人のいる前では谷口と話すことはなかったのだが、もう俺は周囲の目を気にしたりはしない。普通の友人のように挨拶をした。
「……おはよう」
谷口は少しキョトン顔だ。朝から俺に声を掛けられるとは思ってなかったのだろう。今までは放課後に少し話す程度だったのだから、無理もない。けど、俺たちは友達だ。どこにでもあるような友情関係を結んだ人同士だ。
「あぁ、そうだ。昨日の分のノート貸してくれない?」
谷口も以前のように話してくれた。俺が皆の前で話すのを躊躇ってないのを見て、安心したのだろう。けど、俺も昨日は五限から居なかったからな。全部は貸せないぞ。
「それでいいよ。私は理科Bの授業とってないし」
ちなみに六限は体育だった。じゃぁ何の問題もないだろう。俺は昨日は真面目に授業を受けていたので、喜んで谷口に貸してやった。
「理科Aは西原にでも借りてくれや」
谷口も西原も、よく理科Aの授業なんて受けられるよな。俺だったら毎回赤点を取ってしまうだろう。
「うん、得意だからね」
なるほど、俺は計算が苦手だからな。
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